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「――…最近、よく夢を見るの」

 ベッドに寝そべりだらけ気味の私を冷ややかに一瞥すると、アゲハはまたすぐ自分の手元に目を戻した。

「どんな?」

 ナイフの手入れは続けながら、一応話を聞いてくれるつもりはあるらしい。

「クロロと二人でいた頃の夢」
「…そんな話あたしにされても困る」
「どうして?」
「あたしはあんたをそのクロロとかいう奴と会わせてやる事も代わりになる事も出来ないからさ」
「……そうね…」

 痛くも無いところを突かれて言葉に詰まったのは、諸々の罪悪感からだ。誓って、私はアゲハをクロロの代わりにしようと思ったことは無い。

「会いたいなら探せばいいだろ」
「そんなに簡単じゃないのよ」
「見つけて欲しいのか?」
「それも多分違うわ。見つかったら逃げ出しそうだから」
「会いたいのに?」
「…会いたくない」
「嘘だな」
「本当よ」
「会いたいけど会ってどうしたら良いか分からない、って顔してる」
「……本当?」
「あんたと違って、あたしは嘘を吐かない」
「……だってどんな顔して会えって言うのよ。私、黙っていなくなった挙句もう六年も音信不通してるのよ? …忘れられてたりしたらどうしよう…」
「乙女か」
「…十四の貴女より十六の私の方が乙女的な歳だと思うけど」
「中身はとんだ年増だがな」
「おだまり」
「おぉ怖い」
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