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 刃が肉を切り裂く感触。
 飛び散った血が頬にかかる生温(なまぬる)さ。
 それすらも煩わしくなると、もう世界の全てが煩わしくなってしまう。
 なぜ煩わしいのかは覚えていない。
 ただ全てが面倒で、煩わしくて・・・・イライラする。

「仕事終わった」

 荒々しく扉を開けて、ソファーが汚れることも気にせずそこへ寝転んだ。

「おかえりなさい。お風呂入れるよ」

 部屋の奥から、組織から派遣された俺の見張り役が顔をのぞかせる。
 本当ならそんなことする必要もないのに、奴はここに来たときからずっと家事全般をこなしていた。

「・・わかった」

 頬について固まった血が鬱陶しい・・
 乱暴に頬を手のひらでこすると、見張り役が心配したように顔を覗き込んできた。

「怪我・・したの?」
「返り血だ」
「そう・・よかった」

 奴はそういって、まるで安心したかのように頬を緩ませる。
 否。奴は、本気で安堵したんだ・・

 嗚呼、イライラする。

 他人に深く関わらないことが絶対的なルールである組織において、こいつみたいな奴は早々に命を落とす。
 他人のために感情を動かすことなど、自殺行為に等しい・・

 嗚呼、イライラする。

 どうして奴は、俺が帰ってきたのを見て、あんなに嬉しそうな顔をするんだ・・・

 俺はただの、殺人鬼・・なのに
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