一人の少女が、道を歩く三人組の前に躍り出た。
「待ちなさい!!」
「・・・なんだ、貴様」
長く、美しい銀髪をなびかせる美女を先頭に歩いていた三人組――ルシファーのメンバー――が、少女に行く手を遮られ立ち止まる。
そして、銀髪の美女――イヴリース――の左後方を歩いていた蒼髪の青年――イスラフィール――が、立ちふさがった少女の姿を視界に入れ、さも機嫌を害されたように言葉を紡いだ。
イスラフィールの右手は、立ち止まったときさり気なく右側に居る紅色の髪の少女を引き寄せている。
紅髪の少女――ジブリール――は、その行動に眉を寄せ、仕方なさそうに溜息を吐いた。
「あなた達、自分達が何をしたか分かっているの!?」
「イスラ、お前今度は何をやったんだ?」
「お前にだけは言われたくない台詞だな」
半狂乱に叫ぶ少女を見ても、ルシファーの面々はこれといった反応を示さない。
ただ、先頭に立っていたイヴリースだけは、面白そうに口元を歪め、僅かに自分の左手を振り返った。
視線を受けたイスラフィールは、不機嫌そうに目を細める。
「あんなにたくさんの人を殺しておいて、どうしてのこのこと私達の前に現れることができるのよ、あなた達は!!」
今ひとつ緊張感に欠ける雰囲気の中で、少女が叫んだ。
今までは周りで僅かにざわめいていたギャラリーの人々が、息を詰める。
「それが宿命であり、意思だからな」
僅かに先ほどより低い声で、イヴリースが口を開いた。
少女は、その言葉が僅かに孕んだ感情に、身を強張らせる。
「っ! この・・人殺し!!」
「否定はしないさ、確かに殺したからな」
「この町かから出て行ってよ! あなた達なんて!!」
「それで? そのあとこの町はどうするんだ?」
「!!」
この町の住人であるギャラリーの中に、ざわめきが起こった。
皆不安そうな面持ちで、ルシファー全員の顔色を伺っている。
だが、そんなギャラリーの不安を気にも留めず、おとなしくイヴリースの後ろで立ち止まっていたジブリールが口を開いた。
「イヴ・・私は帰る」
すると、イスラフィールが僅かに身長で劣るジブリールを見下ろし、肩をすくめる。
「ジブリールが帰るなら、俺も帰るぜ?」
「ああ・・私もすぐ行く」
―― ――
イヴリースの言葉を待たずして、二人の姿は澄んだ金属音とともに大気に溶けた。
ギャラリーはざわめき、イヴは少女へと歩み寄り、少女は恐怖のあまり動けずにいる。
「お前達を守るのが私の意志だ。だから私はたとえお前達がどう思おうと、これからも殺し続け、守り続ける」
ギャラリーの人々が皆、はっとしたようにイヴリースに視線を向けた。
イヴリースは、驚きに目を見開く少女の数歩前で立ち止まり、微笑む。
「すまなかったな。これからは町中をむやみに歩かないようにするよ」
―― ――
イヴリースの姿が、大気に溶けた。
「また、心にも無いことを言ったものだな」
「〝何故?〟 なんて残酷なこと、町の人々が知る必要はないさ」
「真実・・か」
「私は罪の償いをしているんだ。だからこれでいい」
「・・そうだな」
イヴリースが、言葉とともに脆く笑った。
「オリジナルが、来たらしい」
「また私達の様子を見にか? ご苦労なことだ」
「・・そうだな」
彼女達とまったく同じ姿を持つ世界の柱。
オリジナルの力の欠片であるルシファー達は、脆く美しい笑顔で・・笑う。
「待ちなさい!!」
「・・・なんだ、貴様」
長く、美しい銀髪をなびかせる美女を先頭に歩いていた三人組――ルシファーのメンバー――が、少女に行く手を遮られ立ち止まる。
そして、銀髪の美女――イヴリース――の左後方を歩いていた蒼髪の青年――イスラフィール――が、立ちふさがった少女の姿を視界に入れ、さも機嫌を害されたように言葉を紡いだ。
イスラフィールの右手は、立ち止まったときさり気なく右側に居る紅色の髪の少女を引き寄せている。
紅髪の少女――ジブリール――は、その行動に眉を寄せ、仕方なさそうに溜息を吐いた。
「あなた達、自分達が何をしたか分かっているの!?」
「イスラ、お前今度は何をやったんだ?」
「お前にだけは言われたくない台詞だな」
半狂乱に叫ぶ少女を見ても、ルシファーの面々はこれといった反応を示さない。
ただ、先頭に立っていたイヴリースだけは、面白そうに口元を歪め、僅かに自分の左手を振り返った。
視線を受けたイスラフィールは、不機嫌そうに目を細める。
「あんなにたくさんの人を殺しておいて、どうしてのこのこと私達の前に現れることができるのよ、あなた達は!!」
今ひとつ緊張感に欠ける雰囲気の中で、少女が叫んだ。
今までは周りで僅かにざわめいていたギャラリーの人々が、息を詰める。
「それが宿命であり、意思だからな」
僅かに先ほどより低い声で、イヴリースが口を開いた。
少女は、その言葉が僅かに孕んだ感情に、身を強張らせる。
「っ! この・・人殺し!!」
「否定はしないさ、確かに殺したからな」
「この町かから出て行ってよ! あなた達なんて!!」
「それで? そのあとこの町はどうするんだ?」
「!!」
この町の住人であるギャラリーの中に、ざわめきが起こった。
皆不安そうな面持ちで、ルシファー全員の顔色を伺っている。
だが、そんなギャラリーの不安を気にも留めず、おとなしくイヴリースの後ろで立ち止まっていたジブリールが口を開いた。
「イヴ・・私は帰る」
すると、イスラフィールが僅かに身長で劣るジブリールを見下ろし、肩をすくめる。
「ジブリールが帰るなら、俺も帰るぜ?」
「ああ・・私もすぐ行く」
―― ――
イヴリースの言葉を待たずして、二人の姿は澄んだ金属音とともに大気に溶けた。
ギャラリーはざわめき、イヴは少女へと歩み寄り、少女は恐怖のあまり動けずにいる。
「お前達を守るのが私の意志だ。だから私はたとえお前達がどう思おうと、これからも殺し続け、守り続ける」
ギャラリーの人々が皆、はっとしたようにイヴリースに視線を向けた。
イヴリースは、驚きに目を見開く少女の数歩前で立ち止まり、微笑む。
「すまなかったな。これからは町中をむやみに歩かないようにするよ」
―― ――
イヴリースの姿が、大気に溶けた。
「また、心にも無いことを言ったものだな」
「〝何故?〟 なんて残酷なこと、町の人々が知る必要はないさ」
「真実・・か」
「私は罪の償いをしているんだ。だからこれでいい」
「・・そうだな」
イヴリースが、言葉とともに脆く笑った。
「オリジナルが、来たらしい」
「また私達の様子を見にか? ご苦労なことだ」
「・・そうだな」
彼女達とまったく同じ姿を持つ世界の柱。
オリジナルの力の欠片であるルシファー達は、脆く美しい笑顔で・・笑う。
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