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「お前の家、何でこんなに広いんだよ」
「多分説明してもわからない」
「なんだよそれ」
「簡単に言うと、空間を抉じ開けて捻じ曲げたって感じ。だから敷地はどこまでも続いてるし、捻じれを利用すれば一瞬で行きたい所にもいける」
「・・・じゃあ何で俺ら歩いてんだよ」
「急ぐ理由がないから」
「あっそ」

 昔々、ある所にとても広いお屋敷がありました。

「で、さぁ、どこ行くの?」
「もうつく」

 そこには昔々、混沌の中から生まれ、たくさんの世界を創った神様とその家族が住んでいました。

「うわ、何ここ」
「境界」

 神様は家族の事をとても大切にし、皆にとても慕われていました。

「って・・・なんで森の中にドアがあるんだよ、ドアが」
「あるところにはあるのよ」
「嘘だぁ」

 けれどある日、神様は家族と広い屋敷を残して、忽然と姿を消してしまったのです。

「この向こうは現実。歪められたこの空間の中で、この先だけが現実の世界」
「・・・ちゃんと土地があるってこと?」
「そう。たとえ〝あの人〟の力が消えてこの屋敷がなくなっても、この扉の向こう側だけは残る。そこだけは、扉の向こうにあり続ける」
「なんで」
「それは・・・」

―――ガチャ

「ここがこの世界の中心であり、あの人が唯一愛した人の場所だから」
「・・・場所?」
「見て」

 なぜなら、神様は大切な人を亡くしてしまったから。

「・・・人?」
「あの人が愛した人の骸よ。あの人と彼自身の力で、今でも生前の姿を保っている」

 なぜなら、神様の大切な人は神様に哀しんで欲しくなかったから。

「・・・この花は?」
「アイリスよ、この世界を創った時、あの人と彼が植えたの」
「こんなに?」

 だから大切な人は眠ります。
 広い世界の中心で__

「それは、植えた本人達にしかわからないわ」
「ふぅん、で、なんで俺つれてきたの? 俺を」
「だって言ったじゃない『世界の中心には何があるのか』って」
「それだけ?」
「それだけよ」

 たくさんの想いに囲まれて、大切な人は眠ります。




アイリス――花言葉
<あなたを大切にします>
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