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小噺専用
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「邪魔するなら死ね」

 振りかざした刀を何のためらいもなく振り下ろし、ついさっきまで会話していた同族を斬り捨てる

「あー怖い」
「・・殺されたいか」
「ざーんねん、俺は斬られたくらいじゃ死なないね」
「切り刻んでやる」

 ぐちゃり。と、刃を抜かれた肉塊が湿った音を立てた

「や、ミンチになったらさすがに死ぬから」

 軽々と塀の上から飛び降り、男は抜き身の小太刀をひらつかせる
 ザクッ。と、地を踏みしめる音が空気を振るわせた

「あれ、お客さん?」
「・・・」
「どこ行くのさ」

 手放された刀が光の粒子と化し掻き消える

「まかせた」
「げー」

 深い深い地の底で、光を知らぬ子が笑う

「ま、いいけどね」

 赤いナミダを拭わず笑う

「俺は楽しいし」

 その手を真っ赤に染めながら
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「・・ケガをしたのか」
「してない」

 赤黒い染みの広がった衣をまとい、それでも尚立ち上がる

「死ぬぞ」
「死なない」

 痛みに顔を歪め
 ふらつく足を気力で支え

「そこまで来るとただのバカだな」
「なんとでも言えばいいさ」

 ただただ歩き続けようとあがく

「だが、気高い」

 いつまでもいつまでも

「当然」

 傷一つない顔で不敵に笑いながら
「その痛みを忘れるな」

 イエス。と、それ以外の答を私は知らない

「絶対に、だ」

 何度も何度も繰り返し私に言い聞かせるこの声は、初めてきく知りもしない感情がつまった声
 何が、起こるのだろうか

「忘れるな」
「はい」

 体に刻まれた痛みを心に刻みなおします
 何があっても、たとえ死を望むほどの痛みをこの身に受けても思い出せるように、貴方が私に与えた痛みだけを胸に抱きます

「なにがあっても」

 私は貴方が去ることを止められはしないから
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