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 は、と唇を食まれて、にわかに呼吸が止まる。目を閉じる事も忘れてただ動けないでいると、不意に目を開けた恭弥と視線が絡んだ。はっと息をした拍子に視線以外のものも絡まって、そもそもなかった距離が更に縮まる。

「んっ…」

 ソファーの背もたれに沿って仰け反ると、それを追って恭弥は膝に乗り上げてきた。閉じ込めるよう頭の両側に肘をついて、けれど直接頭を抱え込もうとはしない。それが試されているように思えて、どうしても顔を背ける事が出来なかった。

「――は、」

 丁寧に探るよう、ゆっくり口の中を舐め回されて普段なら考えられない早さで息が上がる。

「息、すればいいのに」

 ようやく唇が離れてから、それでも鼻先が触れ合うほどの距離で恭弥は呟いた。その声が他意のない、酷く純粋なものだったから逆に居たたまれない。
 恭弥が常の調子なら、私だって呼吸のタイミングくらいはかれる。だけど不意打ちでこんなのは卑怯だ。

「…顔、まっかだよ」

 お願いだから優しくなんてしないで。
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