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「見つけた・・」



 歪んだ時計に入ると共に制限を受けた力。見えない世界。
 洋風の落ち着いた部屋で一人眠るイヴリースを漸く探し当て、ジブリールは音もなく部屋に踏み込んだ。



「イヴ、」



 ここはとても居心地がいい。――けれど、哀しすぎる。



「あの人を見つけてあげて」



 全ての光景が否応なく心の中に飛び込んできた。
 この世界に足を踏み入れた途端、知識として知っている全てが一瞬で色褪せたような気さえする。
 言葉という表現方法はあまりに幼稚すぎた。全てを褒め称える心と、哀しみの奔流がせめぎ合う。
 精神[ココロ]を切り離した知識であるはずの自分でさえ、こんなにも胸を締め付けられる。



「イヴ」



 なら、この世界を創り出したあの人は?



「こんな・・「あいつは、」



 全の指輪を持つ、その指輪を持つに相応しい唯一の人は?



「ずっとこんな風に世界を見つめていた」
「っ」



 苦しすぎる。



「これが暁羽の存在する世界。暁羽の主観する、決して美しく楽しいばかりではない現実」



 知識である私でさえ、



「耐えられ、ない」
「大分引きずられてるな、ジブ」
「平気なイヴがおかしいのよ。あの人の世界で、あの人に紡がれた私達、が・・」



 同じ、よう・・に?



「気付いた?」



 零しかけた言葉を呑みこみ、息を呑んだジブリールにイヴリースは不敵な笑みを向け漸く重い腰を上げた。



「これが私と暁羽の世界だ」



 神の能力、イヴリース。
 混沌[カオス]より生まれ全てを創り破壊する事を選び取りし白銀の闇。



「・・・特別、ね」



 そしてあの人の特別。
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