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「もしかしてずっと待ってた?」

 かけられた声に顔を上げ、アサギは首を傾げる

「イザ?」
「声だけですよ、イザ様はまだ・・着きました」

 カゲツの声と共に白銀の汗衫が翻り、築地塀を飛び越えたイザが庭に降り立った

「冷えるよ、アサギ」
「今日は待っていたかったの」
「・・・カゲツ」

 ふわりとアサギを抱き上げ、カゲツはイザが押し開けた妻戸をくぐる 手早く着替えを済ませ、イザはアサギが横たわる茵の脇に腰を下ろした

「体の調子は?」
「大丈夫」
「だからって無理したら・・」
「大丈夫。無理じゃないから」

 ニコニコと笑いながらアサギはイザの袂をしっかりと握る
 それを視界の隅にとめ、イザは立てた片膝に寄りかかった

「なら、いいよ。おやすみ」
「おやすみなさい、イザ」

 夜がじわりじわりと深さを増す
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