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「ヤマト」
「んー?」
「ヤマト」
「んー・・」
「ヤマト」
「何か・・「ヤマトヤマトヤマトヤマトヤマトヤマトヤマト」
「ゼロ?」
「ヤマト」
「だからどうしたんだよ」
「まだ寝ないの?」
「もう少し」
「ヤマト」
「ん?」
「眠いの」
「・・・分かったよ」



「ヤマト」
「んー?」
「私の言ったこと覚えてる?」
「あぁ」
「ありがとう」
「どういたしまして」
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「ッ――」



 俺が独りになった日も、スラムキングが死んだ日も、俺が初めてチルドレンキングと呼ばれた日も雨が降っていた。
 空は気が滅入るような灰色で、なのに大気はどこか温かい。



 ――迎えに・・



 雨の日はいつも何かが起こるんだ。だから――



「わかってるよ」



 また運命が動くかもしれない。そんな淡い希望を俺は胸に抱いていた。
 左手に持った鳥籠を肩に担ぎ、人込を縫うように歩いた。
 空は白々しいほどに晴れていて、風は人の熱気で生温かくて、大気は優しい。
 自分は自由だと、ただ目的もなく歩いている限り感じられる。
 そうだろ?



「ゼロ」



 携帯に付けた鈴が澄んだ音を立てた。
 刃を振り上げ、斬った相手を踏み台に跳躍する。
 後を追う銃弾を身を捻ることで避け、着地ついでに刃を突き立てた。



「がっ」
「うるさい」



 痛みに声を上げる男の喉を切り裂き、返り血をひらりと避ける。



「如月」



 地に落ちる寸前の鮮血を差し出された刃が受け止めた。





 ドクンッ





 軽く握った柄から伝わる歓喜に美香[ウツカ]はもう一度地を蹴る。



「次」



 血飛沫が舞った。
「ダメだよ」



貴方は彼女を殺したのだから、僕は貴方を許さない
許せるわけがない。彼女は僕の全てだったのだから



「でも・・」



返してくれるなら生かしてあげよう
僕に返して、僕の全てだった彼女を



「さぁ、どうする?」



彼女が微笑んでくれるなら僕は何だってするんだ





理[コトワリ]に背く事だって厭わない
「なぁ、知ってるか?」
「何? いきなり」



 ある晴れた日曜日。



「鳥籠を持った万屋の話」
「よろずや?」



 大陸のほぼ中央にある街の公園。



「掲示板に書き込みしたら次の日出雲公園に立ってるんだってよ」
「あ! もしかしてそれKのこと?」



 噴水前。



「なんだ、知ってるじゃん」
「だって万屋なんていうから、何でも屋でしょ?」
「バカ、それじゃ安っぽいじゃん」





「・・・」



 楽しげに談笑しながら去っていく一組のカップルを、【K】はサングラス越しに見送った。
 噂の掲示板に書き込みがあったのは昨日。そして、【K】が現れるのは決まって書き込みがあった翌日の正午。



「3」



 時計の針が重なり合おうとその距離を縮める。



「2」



 【K】は決して待ったりしない。正午を過ぎれば、誰にも気付かれる事なくふらりと姿を消す。



「1」



 公園にある時計台が、けたたましい音と共に時間切れを告げた。



「残念」
 穢れない心。
 穢れない想い。
 穢れない行動。



 その全てをいつまで守り抜くつもり?
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