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猫の様にしなやかなその髪に手を伸ばし

いつも触れる直前夢から覚める

うたかたの夢

私と貴女は違う人間
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「従順なオモチャも潔い女も必要ない」

示されたそれは選ぶ事を許されない残酷で意地悪な選択肢
「俺に従え。それが嫌なら今すぐ消えろ」

 そう言い放ち男は血塗られた右手で前髪を掻き上げた。
 その視線の先で膝を突く女は緩慢な動きで顔を上げる。

「嫌よ。私はあんたの物だけど、絶対あんたに従う事はしない」
「・・いい度胸だ」

 男が作り出した地獄絵図の中、女は物怖じする事もなく男を見据えた。
 男はゆっくりと左手を女に向け、手の平を上向ける。

「・・・」
「連れてってやるよ。自分の命は自分で守れ」

 驚愕に目を見張る女に男は告げた。

「俺からも、敵からも、な」

 答えのない選択肢の果てを。
「ちょっとシュア! 貴方一体何をしているの!?」
『今忙しいんだ。後にしてくれないかい? サクラ』
「たった数十秒でも本部の全システムがダウンしたんだ。説明くらいあってもいいだろう、シュア」
『アシル、君までか?』
「シュアは『蝶』を追っていた。それだけさ」
狂いだす歯車が痛みを伴いメロディを奏でた
「『蝶』はオーパーツ、ならここに存在すべきではない。そう思わないかな? ハルカクン」
「存在しないもののことを論じても仕方がない。僕は今ちょっと急いでるんですよ、どいてもらえますか? カナタさん」
「おやおや、私が知らないとでも思っているのかい? 君は持っているはずだ。博士が残した遺産――『蝶』を」
「祖父は僕に一冊のノートと家しか残しませんでしたよ。『蝶』なんて、どこにも存在しない。まさか貴方までそんなものの存在を信じているんですか?」
「信じているさ。『蝶』は確かに存在する」
「その証拠は?」
「少なくとも博士はそれを見つけた。だから私もそれを知りたい」
「カナタさん、貴方は勘違いしている。祖父が見つけたアレは、『蝶』なんかじゃない」
「『蝶』さ、それを見つけるため博士は大陸を出た」
「それは刺青の組織だ」
「だが彼等では見つけられない。あんなゴミどものあつまりでは」
「変わりましたね、カナタさん。貴方は他人を卑下するような人じゃなかった」
「変わりもするさ、君と最後に会ってからもう随分経った。さぁ、教えてくれ、『蝶』とはなんだ。『蝶』とは――」
「駄目だよ。法を定めた人間がそれを守らなきゃ、誰も守ってはくれない」
「だからあんたは態々ルール通りに話を進めるの? 簡単な方法を知ってるのに」
「だってすぐに終わったら面白くない。僕はいつも退屈で退屈で仕方ないんだ。だからどんなに面倒でも少しずつ進めるって決めた」
「変なハッカー」
「それにこのシステムはどんなハッキングにも屈しない。どっちみち無理なんだよ。法を歪めて先に進むのは」
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